2023年08月10日
ゆらりまゆ no 松島(宮城県)
瑞巌寺 御成門
Hotelで朝7時の朝食を済ませ、JR仙石線にて松山海岸を目指す。松山海岸駅より名庭園をうたう円通院(えんつういん)へと歩く。
円通院 山門
円通院はバラの寺としても知られる様だが、あいにく時期ではない。伊達政宗公の嫡孫(ちゃくそん)である光宗君の菩提寺だという。萱葺(かやぶき)で一間一戸という薬医門の山門もまた指定文化財となっている。
入口を入り左側にある石庭の松島湾を表したという白砂を眺めつつ、雨に潤いをみせる苔の緑や青紅葉の若竹色に放つ美しい中を重要文化財の三慧殿(さんけいでん:1646年建造)へと歩く。
江戸城内において19歳の若さで卒した光宗君を悼み父である2代藩主伊達忠宗公により霊屋は健立されたのだと円通院のリーフレットには書かれる。
何処を歩いても心静かになる景色である。三慧殿(さんけいでん)の外観は禅宗のためか侘び・寂びの様相である。
ときどき庭の手入れなのか係りの方が雨の中に見え隠れする。
戻り道、行きでは気が付かなかったが山門脇では縁結び観音が小さなスペースに祀られ、取り囲む様に願掛けのコケシが所狭しと並んでいた。
指定文化財である薬医門を瑞巌寺へ向け足早にくぐり抜けたが秋には再度訪れたい場所である。
瑞巌寺へと味のある一本道を行く
国宝とされる瑞巌寺だが、その始まりは天台宗の寺であり、その後臨済宗の円福寺となり衰微していた寺の再建に伊達政宗が4年を費やして大伽藍を完成させた。
建築は全体として禅刹(ぜんさつ)の風格を保ち内部に極彩色の彫刻や金碧画の襖などに収めた桃山芸術の粋をつくしている。本堂・庫裡・回廊は国宝に指定………と、庭の案内板には書かれている。
瑞巌寺 庫裡
建物内は確かに見事なものだったが写真不可のため撮る事はできなかった。
瑞巌寺
円通院
瑞巌寺の敷地は広い。参道脇には約700年前と言われる洞窟群が見える。近づくと霊場(れいじょう)と書かれた案内板。同じような洞窟群はお隣の円通院にも確認された。霊場とは修行の場・霊験あらたかな場所との事らしいが、古き墓地に見えなくもない。
また、写真では確認できないが穴の周りに無数に散らばる差し穴らしきものがある。ツルハシの跡にもみえ探鉱の名残だとしたら………妄想を膨らましたりするのも旅の楽しみである。
ここから瑞巌寺五大堂へと歩く。
五大堂は海岸縁にある。瑞巌寺の参道を過ぎ公道沿いの土産品店が軒を連ねる中、水溜りと小雨と行き交う傘のぶつかり合いなど人の出の多さが休日である事を思い出させる。
五大堂へと渡せる透かし橋には幅30㎝ばかりだろうか、2本の板が架かっており板上歩きをガニ股に行くと五大堂となる。東北地方最古と言われる桃山建築五大堂に、おそらく今はもう無いであろう故郷の木造建築の朽ちかけた木の質感が重なり懐かしい記憶が蘇る。片や重要文化財というのにである。
五大堂
面白い事に松島には、渡月橋(縁切り橋)があり、福浦橋(出合い橋)があり、そして五大堂の透かし橋(縁結び橋)がある。ろくでもない悪縁はサッサと断ち切りいい出会いを見つけて縁を結べとの教えだろうか?なかなか現実的な教えでもある。
止まない雨に、縁結び橋だけに留めて、観瀾亭(かんらんてい)へと向かう
観瀾亭(かんらんてい)は伊達政宗が豊臣秀吉から拝領した伏見桃山城の茶室を、忠宗が原型のまま移築。別名月見御殿とも言われ歴代藩主のお休み所と言われたもののようだ。
「観瀾」(かんらん)とはさざなみを見ると言う意味らしいが、なかなか風流なものである。この観瀾亭には明治9年の明治天皇奥羽巡幸の際6/27・28日に小休止したのだと案内板には書かれる。
明治9年6月22日〜7月2日にかけて宮城県に滞在したものの様なのでその時に立ち寄ったひとつが観瀾亭という事なのだろう。この時同行した面々には岩倉具視や木戸孝允・大久保利通・大隈重信他であったという。
ちなみに祝日となる海の日だが、この明治9年の50日をかけた巡幸(往路は陸路らしい)の復路に明治天皇が北海道から乗り込んだ明治丸が横浜港に着いたのが7/20だった事を記念したもののようだ。
明治丸は灯台巡視船として造らせるがお召し船としても用いられており、1897年の琉球処分の際には、尚泰琉球王を乗せて東京まで航海している。現在は東京海洋大学の学庭に重要文化財として置かれる。
観瀾亭では抹茶セットを頂いた。小雨の中眼下の松島湾には小さな船が浮かぶ。静かな夜に月を見てさざなみの音を枕にしてみたいものと空想の最中……
観光客の一軍が案内のガイドさんの導きで視界を遮る。少し長居をしたので立ち退こうとすると「ご迷惑をお掛けしました」謝罪の言葉が返ってきた。そこはお互い様「大丈夫です」と伝え船着場から塩竈を目指す。
Posted by あんががま at 20:10│Comments(0)
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